Hop TestのRSI低下は神経筋疲労のサインである
RSI(Reactive Strength Index)はジャンプ力だけでなく、体の疲労状態を映す鋭敏なセンサーとして機能します。
RSIの計算式
RSI = 跳躍高 ÷ 接地時間
- 跳躍高:飛行時間(Flight Time)から算出。高いほど良い
- 接地時間:地面に触れている時間(Ground Contact Time)。短いほど良い
- RSIが上がる条件:高く跳び × 素早く離地。両方を同時に最適化する必要がある
- RSIが測るもの:SSC(伸張-短縮サイクル)の効率=弾性エネルギーの活用能力
重要ポイント
疲労時にRSIは最大筋力よりも先に低下します。同じ重量が挙げられても、「素早い切り替え」の能力は密かに損なわれています。RSIはその変化をいち早くキャッチできる指標です。
疲労からRSI低下までのメカニズム
STEP 1:疲労の蓄積
- 試合・高強度練習
- トレーニング量の増加
- 睡眠・回復の不足
STEP 2:神経筋機能の低下
- 神経伝達・発火タイミングの乱れ
- 筋腱スティフネスの低下
- 反射的収縮が遅くなる
STEP 3:SSC効率の悪化
- 弾性エネルギーを活かせない
- 接地時間が延びる
- 跳躍高も低下する
結果:RSIが低下
- 疲労・回復不足のサイン
- 怪我リスクの上昇
- パフォーマンス低下の予兆
正常時 vs 疲労時:数値の変化
| 項目 | 正常・回復済み | 疲労蓄積時 |
|---|---|---|
| 接地時間 | 短い ↓ | 延長 ↑ |
| 跳躍高 | 高い ↑ | 低下 ↓ |
| RSI | ベースライン以上 | ベースラインを下回る |
| 状態 | 神経筋の準備OK | 回復・負荷調整が必要 |
なぜ筋力より先にRSIが落ちるのか
- 速度依存の能力 RSIは「速さ」の指標。疲労は最大筋力より先に神経の「素早い発火」を妨げる。
- 腱の弾性低下 筋腱スティフネスは疲労に敏感。バネのような反発力が失われると接地時間が延びる。
- 神経系の保護機制 脳・神経系が「これ以上は危険」と判断し、反射的な爆発力を意図的に抑制する。
現場での活用法
- シーズン初めにベースラインを計測する 個人の基準値を持つことで、低下が「疲労」なのか「実力不足」なのかを区別できる。
- 毎週同じタイミング(休息日後)に測定する 測定タイミングが違うと疲労の影響が混入する。条件を揃えることで変化が見えやすくなる。
- RSI低下を、練習強度を落とすサインとして使う 試合後・高負荷週の後にRSIを測定し、回復が不十分なまま高強度練習を行わないための判断材料にする。
参考論文
- Flanagan, Ebben & Jensen (2008) Reliability of the reactive strength index during depth jumps. J. Strength Cond. Res., 22(5).
- Hamilton, D. (2009) Drop jumps as an indicator of neuromuscular fatigue in elite youth soccer. J. Australian Strength and Conditioning, 17(4).
- Cormack et al. (2008) Neuromuscular responses of elite players during an Australian rules football season. Int. J. Sports Physiol. Perform., 3(4).
- Claudino et al. (2022) Trends Assessing Neuromuscular Fatigue in Team Sports: A Narrative Review. Sports, 10(3), MDPI.

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